いよいよ後、5日で元号が「令和」に変わります。
何か寂しいような、またワクワクするような不思議な気持ちです。
そこで時代が変わるときに、日本的な美の本質について考えてみたいと
思います。✨
谷崎 潤一郎氏が晩年 昭和初期に書かれた随筆をご紹介します。🎵
「陰翳礼讃」このエッセイは、欧米等世界各国で愛されつづけ、
日本でも多くの読者に今なお読み続けられています。⤴
特に日本のしつらえの美しさについて書かれた所は
何度読んでも感銘を受けます。
「日本の漆器の美しさは、そう云うぼんやりした薄明りの中において
こそ、始めて本島に発揮されると云うことであった。」
「羊羹の色あいも、あれを塗り物の菓子器に入れて、肌の色が
辛うじて見分けられる暗がりへ沈めると、ひとしお幻想的になる。
人はあの冷たく滑らかなものを口中に含む時、あたかも室内の
暗黒が一個の甘い魂になって舌の先で融けるのを感じ、本当は
そう甘くない羊羹でも、味に異様な深みが添わるように思う。」
「どうも近頃のわれわれは、電燈に麻痺して、照明の過剰から起こる
不便ということに対しては、案外無感覚になっているらしい。」
「私は、われわれが既に失いつつある陰翳の世界を、せめて文学の
領域へでも呼び返してみたい。
文学という殿堂の軒を深くし、壁を暗くし、見えすぎるものを
闇に押し込め、無用の室内装飾を剥ぎ取ってみたい。
それも軒並みとは言わない、一軒ぐらいそういう家があっても
よかろう。
まあどういう工合になるか、試しに電燈を消してみることだ。」
まさに日本人が持つ陰翳の美学を良く表現している素晴らしい
随筆です。📖
posted by staff at 15:28
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